厭戦と反戦

2015年1月23日

旧 1月27日 先負

日曜日に観た「明日への遺言」の感想です。

小泉堯史(こいずみたかし)監督の長年の構想をやっと映画化した作品です。
爆撃機から脱出した米軍捕虜を処刑したというB級戦犯についての話です。

国際条約を破ったという検察側と、本土爆撃に際し「非軍事施設への攻撃」をした犯罪性を主張する日本側(弁護側)で、
法廷で闘います。
主役の岡田中将(藤田まこと)は、自分の命と引き換えに日本の正義を訴えます。

シーン割や、動きは非常に限られた、渋い撮り方です。
法廷の場面がほとんどです、そこでの細かい機微をうまく作り出しています。

今度スマップの中居くんの主役、古くはフランキー堺演じた「私は貝になりたい」も戦争裁判の作品です。

罪のない民間人を大量に殺害しても罪にならず、軍人をたかだかひとりやふたり殺して罪になるというのは、
平時に生きる我々には理解しがたい事であります。
そればかりでなく、敗戦国の軍人はシベリアに抑留されて、過酷な強制労働で死んでもソ連(当時)はかまいなしです。

最近、太平洋戦争時代の作品がやや多く見受けられます。「母べえ」もあるいみそうです。
(ちなみに、小泉監督と野上さんは黒澤組で数多く共同作業をしています)

誰でも、こういう映画を観て、戦争はいかんと思うわけです。

一般的っていうか護憲派的違憲、は「厭戦」です。
戦争は悲惨だから二度とやらない、もう軍備はもたない。

私の意見は違います。
敗戦を考えてみてください。戦争に負けるのは悲惨なのです。
戦争に勝てる国にならなくてはいけません、でも、戦争は避けるべきです。

もつべき備えはもって、誇りもたずさえて、その上で「反戦」を訴えるのが敗戦から立ち直った我々の責務だと思います。

(Hatena::Diaryより転載)