もういっこ、若尾文子で

「波影」 1965年 東京映画
大映から若尾文子が貸し出された珍しい映画です。山本富士子は豊田四郎の映画に数作品主演していて、その豊田映画の「憂愁平野」が皮肉にも彼女を引退に追い込みました。その二年後、すでに山本のいない大映から代わりに若尾が引っ張られたのかその辺はわかりません。

貧しい家の出身の「おやま」の雛千代と、置屋の家族との関係を描いた悲しい物語です。置屋の主人が山茶花究、おかみが乙羽信子、その息子が中村賀葎雄(別に子役あり)、娘が大空真弓(別に子役あり)です。娘の通う学校の先生が沢村貞子、こんなとこです。

モノクロ映画です。65年なので”あえて”モノクロにしています。大映ですがちょうどこの頃「兵隊やくざ」が作られていてこれもモノクロです。共に戦前(昭和十年代)が舞台なのであえて昔を描写するのにモノクロを選んでいるのかもしれません。この翌年の大映「赤い天使」(若尾文子主演)も戦争を描いた映画でモノクロです。
逆に、松竹の「拝啓 天皇陛下様」(1963年、渥美清主演)や大映の与太郎戦記(フランキー堺、伴淳三郎)はカラーです(だって69年じゃーと思いますが、兵隊やくざシリーズ「兵隊やくざ 強奪」は前年68年でモノクロです)。演出の考え方ですね。

脱線しました。さて昨日書いた「十代の性典」から十二年たって、三十路を迎える若尾文子は私たちのよく知る若尾文子のイメージそのままです。こういう比較ができるのは幸せです。ところで、中村賀葎雄は萬家錦之助のお兄さんです。若い顔はわからないから、あれっ錦之助?と思いました。ちなみにそういう楽しみのためオープニングの配役はあまり見ないようにしています(後で見直す)。

(Hatena::Diaryより転載)

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